
口腔顔面痛とは?
口腔顔面痛は、お口や顔、あごなどに感じる痛みの総称です。この痛みは、歯や顎関節、筋肉、神経など様々な原因から生じることがあります。
一般的な歯の痛み(虫歯や歯周病による痛み)は歯科医師が適切に治療できますが、口腔顔面痛は、歯や歯ぐきに明らかな原因がないのに痛みがある状態が含まれます。このような痛みは「非歯原性歯痛」と呼ばれ、歯以外の原因で歯が痛く感じる状態です。
口腔顔面痛は日常生活に大きな影響を与えることがあり、適切な診断と治療が重要です。痛みの性質や発症パターンなどから原因を特定することができます。
こんな方におすすめ
以下のような症状がある方は、口腔顔面痛の可能性があります。
- 歯や歯ぐきに痛みがあるが、歯科治療を受けても改善しない
- 顔や口の中に持続的な痛みや不快感がある
- 痛みが電気が走るような、ズキズキする、焼けるような感覚がある
- 顔の特定の部位に触れると強い痛みが起こる
- 食事や会話、歯磨きなどの日常動作で痛みが悪化する
- 片側の顔面にのみ痛みがある
また、以下のような状況も口腔顔面痛のリスクを高めます。
- 強いストレスを感じている
- 睡眠の質が悪い
- 歯ぎしりや食いしばりの習慣がある
- 顎関節症の症状がある
これらの症状が2週間以上続く場合や徐々に悪化する場合は、専門的な診断を受けることをお勧めします。
口腔顔面痛の主な種類と特徴
非歯原性歯痛
歯に原因がないのに歯が痛く感じる状態です。周囲の筋肉のコリが原因になることが多いですが、三叉神経痛や頭痛、副鼻腔炎、まれには心臓の病気やがんの転移が原因となることもあります。
顎関節症
顎の関節や噛むための筋肉に異常が起きる病気です。口を開け閉めすると耳の前で感じる関節に問題があるタイプと、顎を動かす筋肉に痛みがあるタイプがあります。「顎が痛い」「口が開かない」「音がする」などの症状があります。
三叉神経痛
顔の感覚を感じる神経(三叉神経)が血管などに圧迫されることで、電気が走るような鋭い痛みが数秒から数分間続きます。顔を洗ったり、ひげを剃ったりする時に痛みが誘発されることが特徴です。高齢者に多くみられます。
舌痛症
舌がヒリヒリ、ピリピリする感覚がある病気で、60歳以上の女性に多くみられます。原因がはっきりしない場合が多いですが、命に関わる病気ではないことがわかっています。
筋膜疼痛症候群
咀嚼筋(噛むための筋肉)や頸部の筋肉の緊張によって引き起こされる痛みです。「ジワッと」した嫌な感じや、こわばった感じ、締め付けられる感じとして表現されることが多いです。
当院の口腔顔面痛治療における特徴
専門的な診断アプローチ
当院では問診、視診、触診、必要に応じて画像検査(レントゲン、CT、MRIなど)を行い、痛みの原因を詳細に特定します。口腔顔面痛は症状が似ていても原因が異なることが多いため、正確な診断が治療成功の鍵となります。
マイクロスコープを用いた精密診断・治療
当院では最新のマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を導入しており、肉眼では確認できない微細な病変や神経の状態を詳細に観察することができます。特に歯原性の痛みの原因特定や、精密な根管治療に役立ちます。
多角的な治療法の提供
痛みの原因や種類に応じた適切な治療を提供します。薬物療法、物理療法、スプリント療法(マウスピース)、ブロック注射療法など、様々な治療法を組み合わせた最適な治療計画を立案します。
全身状態を考慮した総合的アプローチ
口腔顔面痛は全身の健康状態や精神的ストレスとも関連しています。当院では口腔内だけでなく、患者さまの生活習慣や全身状態も考慮した総合的な治療を行います。
他科との連携体制
口腔顔面痛の中には、神経内科や脳神経外科などの他科との連携が必要なケースもあります。当院では適切な医療機関との連携体制を整えており、必要に応じて専門医への紹介も行っています。
口腔顔面痛治療のメリット

痛みからの解放
適切な診断と治療により、慢性的な痛みから解放されることで、日常生活の質が大きく向上します。食事や会話などの基本的な活動も快適に行えるようになります。
関連症状の改善
口腔顔面痛に伴う頭痛、耳鳴り、めまいなどの関連症状も同時に改善することが多く、全体的な健康状態の向上につながります。
精神的ストレスの軽減
慢性的な痛みは精神的ストレスや不安、抑うつ状態を引き起こすことがあります。痛みの改善により、こうした精神的な負担も軽減されます。
睡眠の質の向上
痛みによって妨げられていた睡眠の質が改善することで、日中の活動力や集中力も向上します。良質な睡眠は全身の健康維持にも重要です。
自己管理能力の向上
治療過程で習得する自己ケアの方法は、再発防止にも役立ちます。痛みの管理法や生活習慣の改善など、身につけた健康習慣は長期的な健康維持にも良い影響を与えます。
口腔顔面痛の予防と自己管理
適切な歯のケア
虫歯や歯周病などの口腔疾患は口腔顔面痛の原因となることがあります。定期的な歯科検診と毎日の適切な歯磨きが重要です。
ストレス管理
ストレスは多くの口腔顔面痛を悪化させる要因となります。適度な運動、趣味の時間、十分な睡眠など、ストレスを軽減する生活習慣を心がけましょう。
悪習慣の改善
歯ぎしりや食いしばりは顎や顔面の筋肉に過度な負担をかけ、痛みの原因となります。これらの習慣に気づき、意識的に改善することが大切です。
バランスの良い食生活
栄養バランスの良い食事は、神経や筋肉の健康維持に重要です。特にビタミンB群やマグネシウムなどのミネラルは神経の健康に役立ちます。
当院の口腔顔面痛治療の流れ
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Step01
詳細な問診と初診検査
症状の発症時期や経過、痛みの性質や部位、日常生活での影響などを詳しくお聞きします。また、口腔内の状態や顎の動き、筋肉や神経の状態を丁寧に検査します。
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Step02
精密検査の実施
必要に応じて、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や、神経伝導速度検査などの専門検査を行います。これらの検査により、目に見えない内部の状態も把握することができます。
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Step03
わかりやすい診断・治療計画の説明
検査結果に基づいて、痛みの原因や種類を診断し、適切な治療計画をご説明します。治療期間や予想される経過、自己管理の方法などについても詳しくお伝えします。
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Step04
個別化された治療の実施
患者さまの症状や原因に合わせた治療を実施します。多くの場合、複数の治療法を組み合わせることで効果が高まります。- 薬物療法:鎮痛剤、抗てんかん薬、抗うつ薬など、痛みの種類に応じた薬剤を処方します
- 物理療法:温熱療法、低周波療法などにより、筋肉の緊張緩和や血行促進を図ります
- スプリント療法:マウスピースを用いて顎の位置を調整し、筋肉や関節への負担を軽減します
- ブロック注射療法:痛みの原因となっている神経や筋肉に直接薬剤を注入し、即効性のある痛みの軽減を図ります
- 生活指導:痛みを悪化させる習慣や姿勢の改善方法をアドバイスします
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Step05
継続的な経過観察と治療の調整
定期的な通院により症状の変化を確認し、必要に応じて治療内容を調整します。多くの場合、治療の経過とともに通院の間隔は徐々に長くなります。
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Step06
充実した治療完了と予防指導
症状が改善したら、再発防止のための自己管理方法をお伝えします。必要に応じて定期的なチェックをご案内することもあります。
当院では患者さま一人ひとりの症状や生活環境に合わせた治療を提供し、痛みのない快適な日常生活の回復をサポートします。口腔顔面の痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。