
歯ぎしり・くいしばりとは?
歯ぎしり・くいしばりは、日本人の約70%が経験しているといわれる一般的な症状です。医学的には「ブラキシズム」と呼ばれ、主に以下の3つのタイプに分類されます。
グラインディング(歯ぎしり)
上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせる動きで、最も一般的なタイプです。歯に大きなダメージを与え、歯が摩耗して平らになる特徴があります。
クレンチング(食いしばり)
上下の歯をぎゅっと強くかみしめる悪習癖のことです。横にこすり合わせる動きはなく、音が出ないため自覚しにくいのが特徴です。睡眠中だけでなく、日中の仕事や集中している時にも無意識に行われます。
タッピング
上下の歯を軽く打ち合わせる行為です。
また、発生するタイミングによって「睡眠時ブラキシズム」と「覚醒時ブラキシズム」に分けられます。睡眠時は無意識に、覚醒時は癖として発生するものです。
通常、リラックスした状態では上下の歯は接触していません。これは安静空隙と呼ばれ、個人差はありますが上下の歯の間に約2mm程度のスペースがあります。しかし、食いしばりが見られる方は口の周囲の筋肉が常に緊張しており、このスペースがほとんど見られないことがあります。
こんな方におすすめ
以下のような症状がある方は、歯ぎしり・くいしばり治療をおすすめします。
- 朝起きた時に顎や頬の筋肉が張っている(こっている)、だるさを感じる方
- 歯がすり減って短くなってきていると感じる方
- 歯の詰め物や被せ物が頻繁に取れる、割れたことがある方
- 知覚過敏の歯が多い方
- 歯に亀裂が多く見える方
- 頭痛や肩こりが慢性的にある方
- 顎関節に痛みがある、口を開けるとカクンカクンと音がする方
- 家族から歯ぎしりの音を指摘されたことがある方
- 集中する時間が長い仕事をされている方
- パソコンやスマートフォンを長時間使用する方
- ストレスを感じることが多い方
歯ぎしり・くいしばりは、単にお口の問題だけではなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。早期に適切な治療を受けることで、これらの症状の予防や改善が期待できます。
自分でできる歯ぎしり・くいしばりのチェック方法
口腔内の状態から判断する
- 前歯や奥歯の先端が平らになっている
- 歯の側面に横方向の擦り傷のような線が見られる
- 頬の内側や舌の側面に歯形の圧痕がある
朝の状態で判断する
- 起床時に顎の筋肉の疲労感や痛みがある
- 朝、こめかみや頭の側面に痛みがある
- 起床時に顎の動きが制限されていると感じる
当院の歯ぎしり・くいしばり治療における特徴
当院では口腔外科医の専門知識と経験を活かし、歯ぎしり・くいしばりの原因を多角的に分析し、患者さん一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。歯ぎしり・くいしばりの原因はまだ完全には解明されていませんが、ストレス、噛み合わせ、日常習慣など様々な要因が複合的に関与していると考えられています。
当院では、詳細な検査により、歯ぎしり・くいしばりの程度や原因を特定します。患者さんのお口の状態だけでなく、全身的な健康状態や生活習慣も考慮した総合的なアプローチを行い、歯ぎしり・くいしばりによる悪影響を最小限に抑える治療を提供しています。
治療では、マウスピース(ナイトガード)による保護療法を中心に、かみ合わせの調整、筋肉のリラクゼーション指導など、複合的なアプローチで症状の改善を図ります。また、治療後も定期的なフォローアップを行い、歯ぎしり・くいしばりの再発防止と口腔健康の維持をサポートします。
難しいケースについても、豊富な臨床経験と専門知識を持つ当院のスタッフが丁寧に対応いたします。他院では対応が難しいとされた症例でも、ぜひ一度ご相談ください。
歯ぎしり・くいしばり治療のメリット
歯の保護
- 歯の過度な摩耗や亀裂、破折を防ぎ、健康な歯を長く保つことができます
- 詰め物や被せ物の脱離・破損を防止できます
痛みと症状の軽減
- 顎関節への負担が軽減され、顎関節症の予防・改善につながります
- 顎や頭部、肩などの痛みや不快感を軽減し、日常生活の質を向上させます
- 頭痛や肩こりなどの全身症状が緩和されることがあります
睡眠と生活の質向上
- 睡眠の質が向上し、朝の顎の疲労感が軽減します
- 口腔周囲筋の緊張がほぐれ、顔のこわばりが改善することがあります
- 脳内ストレス発散ホルモンの過剰分泌を防ぎます
歯科治療への好影響
- 歯周病の進行を抑制することができます
- 詰め物やクラウンなどの寿命を延ばします
歯ぎしり・くいしばりと全身の健康との関係
筋肉の緊張と全身症状
歯ぎしり・くいしばりにより咬筋や側頭筋が過度に緊張すると、その緊張が首や肩の筋肉にまで波及し、頭痛や肩こりの原因となることがあります。
睡眠の質の低下
睡眠中の無意識の歯ぎしり・くいしばりは、深い睡眠を妨げる要因となり、睡眠の質を低下させることがあります。その結果、日中の疲労感や集中力の低下を引き起こすことがあります。
ストレスとの相互作用
ストレスが歯ぎしり・くいしばりを誘発することがある一方で、歯ぎしり・くいしばりによる筋肉の緊張がさらにストレスを増幅させるという悪循環を生じることがあります。
姿勢への影響
下顎の位置が変わることで、頭部や首、肩の位置関係が変化し、姿勢の悪化を招くことがあります。
当院の歯ぎしり・くいしばり治療の流れ

当院での歯ぎしり・くいしばり治療は以下のような流れで進めていきます。
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Step01
初診・カウンセリング
患者さんのお悩みや現在の歯の状態、生活習慣などを詳しくお伺いします。お口の状態だけでなく、生活習慣やストレス状況なども丁寧にお聞きします。治療に関するご希望や不安に感じていることがあれば、遠慮なくお伝えください。
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Step02
精密検査
口腔内写真やレントゲン撮影など、お口の全体状況を詳しく検査します。歯の摩耗状態や顎の動きなどを詳細に分析し、歯ぎしり・くいしばりの種類や程度を診断します。
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Step03
治療計画の立案
検査結果と患者さんのご要望に基づいて、最適な治療計画を立案します。ナイトガード(マウスピース)の作製や、必要に応じてかみ合わせの調整などを計画します。
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Step04
マウスピース(ナイトガード)の作製
患者様のお口に合わせたオーダーメイドのマウスピースを作製します。これにより、歯ぎしり・くいしばりによる力を分散し、歯や顎関節を保護します。
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Step05
生活指導・セルフケア指導
日中の歯ぎしり・くいしばりに気づくためのトレーニングや、顎の筋肉をリラックスさせるセルフマッサージ法をお伝えします。
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Step06
定期的なフォローアップ
定期的な通院により、症状の改善状況を確認し、必要に応じてマウスピースの調整や治療計画の見直しを行います。
歯ぎしり・くいしばり治療は基本的に保険適用となりますが、治療内容によっては自費診療となる場合もあります。詳しくは診療時にご説明いたします。
生活習慣の改善と歯ぎしり・くいしばりの予防
歯ぎしり・くいしばりを予防・軽減するためには、日常生活での意識的な取り組みも重要です。
姿勢の改善
パソコンやスマートフォンの使用時は、画面を目線に近い高さに調整し、顔が下向きにならないよう注意しましょう。下を向くと顎の筋肉が緊張しやすくなります。
食事内容の見直し
夕食での過度な糖質摂取や、カフェインやアルコールの過剰摂取は血糖値の急激な変動を引き起こし、夜間の歯ぎしり・くいしばりを誘発する可能性があります。バランスの良い食事を心がけましょう。
リラクゼーション技法の実践
深呼吸や瞑想など、リラクゼーション技法を定期的に行うことで、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。特に就寝前のリラックスタイムを設けることをおすすめします。
就寝環境の整備
快適な寝具や適切な枕を使用することで、睡眠中の姿勢が改善され、歯ぎしり・くいしばりの軽減につながる場合があります。
当院では、これらの生活習慣の改善についても専門的なアドバイスを提供し、患者様の総合的な健康増進をサポートしています。
歯ぎしり・くいしばりでお悩みの方は、早めに専門医へご相談ください。当院では患者さん一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を心がけています。どんな小さなお悩みでも、お気軽にご相談ください。