
顔面神経麻痺とは?
顔面神経麻痺は、顔の表情をつかさどる顔面神経(第VII脳神経)の機能障害により、顔の表情の麻痺という見た目の障害をおこすだけでなく、涙腺や唾液腺の分泌障害、味覚低下などもおこります。
顔面神経麻痺は主に片側の顔の筋肉が動かなくなる病気で、ベル麻痺と呼ばれる特発性のものが最も多く見られます。原因は確定されてはいませんが、単純ヘルペスウイルス1型の感染の関与が示唆されています。
日本では年間に人口10万人あたり30人程度が発症するとされています。幅広い年齢層で起こる病気ですが、適切な治療を早期に始めることで、多くの場合、症状は数ヶ月以内に改善します。
顔面神経麻痺の原因
ベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)
最も頻度が高いタイプで、単純ヘルペスウイルスの再活性化による神経の炎症が関与していると考えられています。突然発症することが特徴です。
その他の原因
寒冷刺激、局所の循環障害、帯状疱疹ウイルス(ハント症候群)、外傷や手術による神経の切断や圧迫、中耳炎、顎関節の炎症、耳下腺などの炎症や悪性腫瘍によっても起こります。
こんな方におすすめ
以下のような症状がある方は、顔面神経麻痺の可能性があります。
- 額の皺(しわ)が消え、皺を寄せようとしてもできない
- まぶたを閉じようとすると白目の部分が見える
- 上まぶたが垂れる
- 口の角が下がる
- 口笛が吹けない
- よだれが垂れる
- 涙の出方がおかしい
- 味を感じにくい
- 耳の痛みや違和感がある
特に、これらの症状が突然片側の顔に現れた場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
当院の顔面神経麻痺治療における特徴
早期診断・早期治療の重視
顔面神経麻痺は治療を早く始めるほど、回復の可能性が高まります。当院では緊急性を理解し、迅速な診断と治療開始を最優先にしています。
多角的な治療アプローチ
患者さん一人ひとりの症状や原因に合わせた最適な治療計画を立てます。薬物療法、神経ブロック療法、リハビリテーションなど、様々な治療法を組み合わせて効果的な回復を目指します。
専門的なリハビリテーション指導
顔面の筋肉を鍛えるトレーニング方法を丁寧に指導し、自宅でも続けられるプログラムをご提案します。回復段階に合わせた適切なリハビリを行うことで、後遺症のリスクを減らします。
心理的サポートの提供
顔面神経麻痺は見た目の変化があるため、心理的な負担も大きいものです。当院では症状の改善だけでなく、治療中の不安や心配にも寄り添い、精神的なサポートも大切にしています。
長期的なフォローアップ体制
回復には個人差があり、時間がかかることもあります。当院では急性期の治療だけでなく、長期的な経過観察と必要に応じた継続治療を提供し、患者さんの完全回復をサポートします。
顔面神経麻痺治療のメリット
表情が戻り、コミュニケーションが楽になる
治療により顔の筋肉の動きが回復し、笑顔や表情が戻ります。これにより人とのコミュニケーションが円滑になり、社会生活での自信を取り戻せます。
目の合併症を防げる
まぶたが閉じられるようになることで、目の乾燥や角膜炎などの合併症を防ぐことができます。目の保護は視力を守るためにも重要です。
食事や会話が快適になる
口の動きが改善すると、食べこぼしやよだれの問題が解消され、食事が快適になります。また、発音も明瞭になり、会話がスムーズになります。
味覚や涙の分泌が正常化する
顔面神経は味覚や涙の分泌にも関わっています。治療によりこれらの機能も回復し、食事の楽しみや目の潤いを取り戻せます。
後遺症のリスクを減らせる
早期に適切な治療を受けることで、顔の筋肉が不自然に動く「病的共同運動」などの後遺症のリスクを減らすことができます。
当院の顔面神経麻痺治療の流れ

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Step01
丁寧な初診・問診
症状がいつから始まったか、どのように進んだか、痛みはあるかなどを詳しくお聞きします。これまでの病歴や生活環境なども確認し、原因を探ります。
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Step02
精密な診察・検査
顔の筋肉の動きを詳しく調べ、麻痺の程度を評価します。必要に応じて血液検査や画像検査を行い、原因の特定と重症度の判定をします。
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Step03
わかりやすい診断・治療計画の説明
検査結果に基づいて、顔面神経麻痺の種類や重症度を診断し、最適な治療計画をわかりやすく説明します。治療期間や回復の見通しについてもお伝えします。
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Step04
個別化された治療の実施
主な治療法としては以下があります。
- ビタミン剤
- 循環を良くする薬
- ステロイド薬
- 抗ウイルス薬
- 星状神経節ブロック
- 低周波などの物理療法
症状が重い場合や特殊な原因がある場合には、手術療法(顔面神経開放術、神経吻合あるいは移植術)を検討することもあります。
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Step05
継続的な経過観察と治療の調整
定期的な通院により症状の変化を確認し、必要に応じて治療内容を調整します。多くの場合、治療の経過とともに通院の間隔は徐々に長くなります。
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Step06
リハビリテーション指導
急性期の治療が落ち着いた後、鏡を見ながら行う顔の筋肉の訓練方法や、日常生活での注意点についてアドバイスします。正しい方法で続けることが重要です。
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Step07
充実した治療完了と予防指導
症状が改善したら、再発防止のための生活上の注意点をお伝えします。必要に応じて定期的な検診をご案内することもあります。
当院では患者さん一人ひとりの症状や生活環境に合わせた治療を提供し、顔面神経麻痺からの回復をサポートします。顔の動きに異常を感じたら、早めにご相談ください。
当院では患者さん一人ひとりの症状や生活環境に合わせた治療を提供し、顔面神経麻痺からの回復をサポートします。顔の動きに異常を感じたら、早めにご相談ください。